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僕とAmazon

 僕はAmazonが大好きだ。本好きとして本屋の経済状況も痛いほど分かるのだが、Amazonの便利さは恐ろしすぎるくらいなので、何でもAmazonで即購入してしまっている自分がいる。お店に買い物に行ってもAmazonのサイトと値段を見比べて、やっぱりAmazonで買おうと諦めて帰ったりしているくらい、生活のなかで依存している。

 例えばここ最近では人と本や漫画の話をしている時、知らない本や漫画の名前が出ると、すぐにスマホで買ってしまう癖が身に付いた。どんな古書でも翌日には届いてチェックできるというのは、かつて古本屋巡りに明け暮れて古書免許まで取得した僕からすればすごいことだ。相手にはあまりに躊躇なく購入するので「早いですね!」と褒められる(!?)のだが、タイトルを忘れたくないから必死でやっているだけの動作にすぎない。

 まだ自分が知らない面白い本や漫画の情報を話してくれる人は貴重。超絶ありがたい。「最近何が面白い?」といった話は人との会話で僕が一番楽しい瞬間だ。自分が気づいていない素晴らしいものを知るのが人生で一番楽しいと僕は思っているから、僕はこの作業に対してお金がもったないとか面倒くさいとか一切思わない。本気でオススメしてくれる人はだれもが目がキラキラと輝いている。自分が体験した感動を伝えたいから、一生懸命なのだ。そのキラキラを僕も体験したい。だから買って読んで、教えてくれた人になるべくお礼をするようにしている。

 自分が楽しいからこそ、僕はいろいろな人に自分が知的興奮した、さまざまな面白いものを勝手に紹介してしまう癖がある。もちろん世の中には僕の話に興味のない人も興味のある人もいるだろう。オススメしたとき、相手にはいくつかのパターンがあるように思う。

 

①話を聞いているだけの人:そもそも本や映画といったものが嫌いなのかもしれない。好きとしても僕のカルチャー方面の趣味が悪いか僕と合わないと思っているのかも。だからオススメにあまり興味がないようだ。それかとてつもなく記憶力が良い人なのかもしれない(うらやましい)。


②ノートやスマホにメモをとる人:僕のオススメに興味を持ってくれているようだが半信半疑なのだろう。慎重な人だ。それともいまお金がないのかしら? メモしてもそのメモはきっと読まれないのだろう。


③その場で買う人:僕の話に興味を持ってくれているようだ。とても有り難い。だがそのあと「読んだ」という話までは発展しない。相手に「気を使わせたのかも」と反省する。

 

④その場で買って後日チェックしてくれる人:次に会った際、その内容でメチャクチャ盛り上がる。興奮冷めやらぬうちに「読みました。素晴らしかった!!」とメールをくれたり電話をくれたりするとこちらもめちゃくちゃ嬉しい。そんな人とは大体親友に。なかには残念ながら「あまり良くなかった」と返事をくれる人も。趣味は合わなかったがとても律儀な人だ。そんな人も心に残る。

 

 というわけで④の人とばかり、いつも会って過ごしている。それが僕の日常で、そういう人以外僕にとっても興味がないのだ。去年からFacebookのグループで、そうしたギークな仲間内だけで映画情報や音楽情報を回しているが、これが滅法楽しい。ものを知っている人は追求している人だと思う。だから飽くなきその探究心に敬意を払いつつ、僕もなるべく勉強しなければと自戒して毎日を過ごすのだ。

 そんなAmazonで、新しく出た荒川洋治の本『文学のことば』を買おうと思って見たら驚いた。評価が☆一つ。現代もっとも文学と詩を愛している、偉大な作者に対して、あまりにも失礼じゃないか。唖然とした(僕の先生なのもあるが客観的に見てもおかしすぎる評価だ)。どうしたんだよAmazon! こんなんじゃダメだろ!!

 

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 評者は渡辺義愛という方で「題名を裏切る内容で、この筆者には文学について語る資格がないと思った。岩波の名が泣く。」という辛辣すぎる内容。
 いやいや、それはないだろ…。『文学のことば』買って読んだけど、めっちゃすごい文学的な内容だよ。何考えているんだよこの馬鹿は、と思って他のレビュー(たった6だけど)読んだら、中村真一郎の遺作にして名著『全ての人は過ぎて行く』を大絶賛しているので読書の勘が狂っているわけでもなさそうだ(というかこの『全ての人は過ぎて行く』を最も高く評価して、世間に知らしめたのは、当時朝日新聞で書評委員だった荒川先生なんだけどね…)。

 「内容的に素晴らしく、私の恩師平岡昇先生について書いている部分はとくに、先生本人を生きているかのごとく描写している。」

 平岡昇といえばフランス文学者で安岡章太郎の親族。ということは渡辺義愛という人もフランス文学関係なのかしら、と見たら、おお、シモーヌ ヴェーユとかの翻訳者なのね。バリバリ文筆家じゃん。
 荒川洋治渡辺義愛に何をしたか知らないが、おい渡辺義愛、こういうレビューは不公平だぜ。そう義憤にかられて、いかに『文学のことば』が素晴らしい本か書こうと思ったけど、飲み会の時間が近づいてきたのでまた他日!

 ひとまず『文学のことば』を読者のみなさんに「オススメ」しておきます。 

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