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柳本浩市さんのこと

柳本浩市さんが亡くなったそうだ。

いつも精力的な柳本さんに死んでしまうイメージなどないから(すべての人がそうだが)、昨日カルロス武井くんから連絡が入った時、何かの間違いじゃないかと思った。

「だって3月3日Facebook投稿しているよ」

電話で武井くんと話している時、まるで死を振り払うかのような突っぱねた返事をしてしまった。

それから様々な人たちから連絡が入ってきて、柳本さんの妹さんが兄の死についてfacebookで触れている文章を会社に向かう途中にバスに揺られながら読んでいる時、ようやく柳本さんの死が実感としてやってきた。

 

柳本さんを直接知らない人に、彼のことを説明するのは難しい。

カルロスくんは「教授」と呼んでいたし、デザインに関係する人たちから尊敬を集めていたし、僕は畏怖していたからだ。

 

openers.jp

 

日本有数のコレクター(それも本やインテリアやプロダクトなど多岐にわたる)である柳本さんの噂は編集者のなかでも有名だった。

「本屋に行ったら端から端まで一棚買って帰るらしい」

「幼稚園のとき『domos』(イタリアの建築雑誌)を定期購読していたらしい」

「小学生のとき一千万円をランドセルに入れて通学していたらしい」

「ビンテージジーンズブームを作ったのは柳本さんらしい」

エアマックスブームは柳本さんがはじめたらしい」

柳本さんにまだ会っていなかった28歳の時、嘘か本当かわからない、うわさ話的な「らしい」という単語ばかりが僕の耳に入っていた。

その度に僕は「本当かよ!」と疑ってかからざるをえなかった。

あまりにもすべての逸話が突拍子もなく、自分の想像の斜め上をはるかに超えていたからだ。

自分もそんじょそこらの古本好きとは訳が違う人間だと思っていた。だからこそ「柳本さんは十万冊以上本を持っているらしい」などと聞くと、一生懸命読書してきたにもかかわらず二万冊も持っていない僕は、そんなバカなと打ち消してしまうしかない。それは結局のところ、自分より知識のありそうな柳本さんに勝てない何かを感じていたからで、底知れぬ康芳夫のような柳本さんのスケールの大きさにおびえていたといえるだろう。

 

 

一番の思い出は、ちょうど知り合ったばかりの2006年、オランダに一緒に行ったときのことだ。

雑誌の仕事で柳本さんがオランダの町歩きをし紹介していくという企画に僕が同行することになった。

いまだから話すが、この同伴旅行で僕は彼の信憑性を暴こうと思ってワクワクしていた。どれだけ柳本神話が本当なのか、自分の目で確かめようと思っていたのだ。

なかでも柳本さんが僕に話してくれて、非常に気になっていたのは、

「1時間しか寝ない」

というエピソードだった。

ものぐさな僕はいまでもショートスリーパーに憧れがある。ショートスリーパーになれば本もゲームも映画もバンバン見れるし、好きなこと、やりたいことに時間をあふれんばかりに注ぐことができる。だが僕はいまだ7時間寝ないと顔面蒼白、フラフラになってしまい、20代のペンネームも「小安眠平」(おやす みんぺい)という人間だ。

いまだ短時間睡眠を徹底できない僕は、寝ないで活動できるという人に並々ならぬ関心を覚えてしまう。

ましてや柳本さんはナポレオンの3時間睡眠をも超える1時間睡眠というのだから、俄然興味は高まっていた。

「この旅行中、実際に自分の目で確かめてやるぞ」

担当編集者にしては最低だが、まるで事件を追う刑事のように、数々のうわさが本当なのかどうか、真実をつかもうと意気込んでいた。

幸運にも、当時オランダは大規模な展示会が行われておりホテルが満室。僕と柳本さんは場末のホテルで同室という、奇跡のような出来事が出発前に起きた。

「うーん、ロイドホテルに泊まりたかったのですが仕方ないですね〜」

「どうもすみません。1時間睡眠を間近で見れて光栄です!」

残念そうな柳本さんを尻目に、僕は小躍りしてほくそ笑んでいた。これで柳本神話の真実に一つに近づけるというわけだ。

飛行機でオランダに向かう途中も隣の席だった僕は、本を読むふりして柳本さんが眠らないかチラチラ伺ったりして、「まだ眠らないんですか?」「本当は6時間くらい寝ちゃうんじゃないですか? もし眠かったら言ってくださいね」と失礼&正直ウザい発言をしつつ、眠っている様子を撮影しようと狙っていた。

それにも関わらず見事に爆睡してしまい、数時間後僕が目を覚ました時、柳本さんは優雅にエットレ・ソットサスの本を読んでいて、この人は本当に一睡も眠らなかったのかしらと驚いたことをよく覚えている。

 

 

到着後、一日市内を取材で歩き回りホテルに戻ってきた僕は、時差もあってフラフラになっていた。部屋に着くなりベッドに倒れ込み、横になりながら今日買った戦利品を並べている柳本さんの様子を眺めていた。

「草彅さん、眠っていいですよ。僕は起きて作業をしているのでうるさいかもしれないですが」

「いえいえ、遠慮なく起きててください。しかし本当に眠くならないんですねえ」

気を遣ってくれる柳本さんとたわいもない会話をしながら、そのまま僕は眠ってしまった。今夜こそ見届けようとさっきまで気を張っていたにも関らず、意志薄弱まさに極まりであった。

 

何十分、何時間が経っただろう。

ドバドバという音が聞こえる。

気のせいかと思ってもゴボゴボとかビシャビシャという音がする。

気になって薄目をあけると、薄暗い中で柳本さんが洗面台に向かって一生懸命手を動かしていた。

よく目を凝らすと昼間買ってきた調味料や洗剤の中身だけを流して捨てている。

重量のかさむ中身を捨てて、パッケージだけを持ち帰る準備をしているのだ。

中身を抜かれたパッケージはサランラップに巻かれて綺麗に梱包され、スーツケースに仕舞われていく。

「プロダクト製品を毎回大量に買っては日本に持って帰り、倉庫に送ってコレクションしているのですよ」と道中喋っていた柳本さんの話を思い出した。

空のスーツケースで旅先に向かい、大量の商品を持ち帰ってきて、ラベルをつけて何万と収集しているという柳本神話は本当だったのだ。

夢か現実かわからない景色を見ながら、僕は柳本さんに衝撃を覚えていた。こういうマメな作業を日々淡々と実行できるコレクターがこの世に存在しているのだ。そしてまったく寝る気配がない。

そのうちに僕は眠ってしまったのだが、起きると柳本さんは一睡もしなかったかのように平然と原稿を書いていて、その化け物みたいなラフスタイルに度肝を抜かれてしまった。僕もいっぱしのコレクター気質だと自惚れていたが、完全に格が違ったのだ。

オランダ滞在中、毎晩僕は闇夜にモゾモゾ動く柳本さんの気配だけを感じながら爆睡を続け、結局のところ彼が眠る姿を実際に見ることができなかったのは、ここに書くまでもない話である。

 

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あんなに眠らなかったのに、と素直に思う。

いまどこかで目をつむって停止している柳本さんがいるというのは僕にとってまったく信じられない話なのだ。

だからこそ、この機会にどうぞゆっくり休んでくださいと願ってしまう。

 

ご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕のキューバ紀行【スポ根編】

最終日キューバを車で流していたら、未来の怪物的スゴい奴がいたのでどうでもいい報告です。

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!?

 

なんだこいつは…

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目の錯覚かと一瞬思ったのでUターンして追ってみることに。

すると目前で写真を撮る事ができました!

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なんなんだよこいつは…

梶原一騎的な何かを感じましたが、一体何のトレーニングなのでしょう?

絶対腰を痛めるであろう過酷なトレーニングに没頭するキューバ星飛雄馬は、僕の前の前を全速力で駆け抜けて行きました。

黙々と練習するその姿に「一体何のための練習なのか?」という根源的な質問をすることができなかったので、そのまま通過しましたが、恐るべしキューバ!! こんな練習する選手にすべての種目勝てるわけないよ!!

個人的にキューバアルファブロガーにとってのネタの宝石箱だと思っています。

僕のキューバ紀行【トニー編】

音信不通でお待たせしました。

ただいまキューバにきています(明日帰国予定)。

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世界第二位のWi-Fiのつながらない国というだけあって、ネットはほぼ不通。グーグルマップは一切使えず、iPhoneは単なる写真機と化すという世界。しばらく下界の様子が皆目分からない状態でしたが、久しぶりにネットにつながってFacebookを開くと「アホ社長は帰ってこなくていい」という役員のDISが目に入ったので、キューバに永住しようと思いましたよ。僕みたいなストレス多い人には人づての情報だけが頼りのハイパーローカル環境がいいかもしれません。

さて「ネットがつながらない割にブログ書いてるじゃん」という人、あなたはマジで甘い。このブログがネットの使えるホテルにわざわざ行き、ダイヤルアップ並の通信速度に2時間制限14ドルを3回支払い、さらにそれぞれ写真の解像度おさえて、7日かけて投稿した結果、アップできずにすべて消え、ようやく帰りしなのカナダのトロント空港で再投稿していることを是非とも知って欲しいよ!! そんな人生で最も書くのに時間が長くかかり、コストも高くなったブログ投稿に関わらず、滅茶苦茶くだらない話を書くんだけど、是非とも俺たち4人とトニーの物語を聞いてくれよ(悲痛)!

 

<ミスターの恋人>

オマール・リナレスの日本語の通訳をしていたという人と偶然知り合ったんだけど、いまから家に行かないかって…」

そう興奮して話し始めたのは今回の旅の首謀者の小野里さんだ。小野里さんはアメリカのLA在住でメディアやさまざまな事業を手がける敏腕ビジネスマン。2年前のバーニングマン旅行中に知り合ったことがきっかけで、アメリカとの国交回復を実現する前のキューバにビジネスチャンスがあると、わざわざ僕を誘い出してくれた好人物だ。ちなみに僕はキューバについて何も分からないまま、「?」ばかり浮かぶのに単純に付いてきたという体たらく。

「え!? 元中日の<ミスターの恋人>ですか?」

野球を皆目分からない僕でもオマール・リナレスの名前は聞いたことがある。ウィキペディアを参照すれば、彼がいかに偉大な選手で、そして日本で期待外れに終わった選手なのかが分かるだろう。

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是非とも次のリンクを読んで欲しい。

オマール・リナレス - Wikipedia

 

それにしても経歴を読めば読むほど豪快すぎる男だぜリナレス! 確かにキューバは野球大国なので、街を歩いていると野球のグッズなどが土産物で売られているし、WBCキューバとの激戦もあって、ザ・日本人の我々一行を見かければ「イチロー!」「マツザカ!」と声をかけられることも多い。だがそれにしてもまさかそんな大物と偶然知り合えるとは…

「それは気をつけた方がいいんじゃないですかね?」

素直に驚いている僕に対してシリアスな言葉を投げかける常識的な大学生、それが我々の第3のメンバー・川名だ。彼は就職先の社長の「学生時代に一人旅してきた方がいいんじゃない?」の鶴の一声で単身ミャンマー、インド、そしてキューバまでやってきたものの、一緒にキューバに同行する予定だった社長は「仕事が忙しくて行けない(キッパリ)」という完全な放置プレイ。その社長と小野里さんとの親交により、学生の川名だけを我々が預かっている、そんな可哀想な流刑囚だ。それもよくよく話を聞けばキューバには滞在たったの3日間で、インドから日本メキシコ経由でキューバ入りし、キューバ→メキシコ→アトランタ→日本と帰って行くという、聞いただけで痔になりそうなフライトを予定しているという。一体彼は何の因果でたった数日、こんな地球の果てまでやってきたのだろう? 就職前に社畜化している典型的な大学生といえるだろう。

「怪しいですね…。昨晩も…アレだったことですし…」

そう昨晩の出来事を苦々しく思っているのは我々4人メンバーのうち、一番頼りになる男、直木賞作家・田中小実昌の孫である田中開くんだ。ドイツ系ハーフでハートもチンコもデカい(見聞済み)この男は英語も喋れてコミュ力も抜群なので、どんな窮地も救ってくれる、旅先で頼りになれる奴なのだ。その結果めんどくさい交渉はすべて開くんに依頼、持ってきたラーメンを作らされ、せっかく作ってくれたのに「マズい。こんな味じゃダメだ」と僕にDISられるくらい僕の良きパートナーである(マジでいい男だよ!)。

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左から筆者、真中下地鶏棒を駆使する川名、真中上開、右小野里氏。この頃はキューバの神髄を知らなかったため笑顔が…

 

 ここで開くんが「アレ」といったのは、昨晩タクシーに乗り込んだときに見知らぬ男が突然一緒に乗り込んできて、我々が分けも分からないうちにナゾのクラブに連れて行かれ、飲み物代やら手数料やら彼にしこたま有り金をだまし取られるという事件が起きたからである。僕はキューバ到着初日だったので、キューバという国はそんなものなのか…と素直に思ったが、3人いわく僕が来るまでまったくそんな事件は起きなかったという(僕が悪いのか!?)。しかしそれから気をつけて行動してみれば、陽気なキューバ人の中には狡猾な奴が何人かいて、アホで金を持っている日本人を騙そうとしている輩が少なからず多いということに気づかされるのだった。特にタクシーは我々が滞在している近くのMELIA COIBAというホテルから旧市街まで平均5CUC(約630円)だが、人によってこれが20CUC(約2,520円)になったり10CUC(約1,260円)になったりするという次第だ。中古車のランクによって変動する(観光客が喜びそうな豪快なアメ車ほど価格が高い)のは理解したのだが、人づてに頼むと一気に高騰、つまり差額をボラレる、という訳である。医者の月給が25CUC(約3,150円)と聞いている国で、いくら社会主義といえどもこれだけ日常的に金をせびられれば、なんだか不快な気分になってくる。

「確かに怪しいけど、やることもないから、せっかくだし行ってみようよ」

そう小野里さんに言われれば確かにその通り。というのもリサーチがはっきり目的としてある小野里さんは寸暇を惜しんで宿の値段をそれぞれ調べたり街の食べ物を食べ歩いたり熱心なのだが、我々3人はそんな小野里さんを手伝うこともなく、いまもホテルの屋上でモヒートやピナコラーダを優雅にあてもなく飲んでいるという無目的さだ。小野里さんも我々のクズっぷりを察して「すぐに連れてくる」と飛び出てしまった。

数分後小野里さんがスクッラプブックを小脇に抱えた初老の紳士然とした男を連れてきた。根本敬の「因果鉄道の旅」風にいえば「いい顔」といえる香ばしい人物。するとトニーがセレブな感じで盛り上がっている集団に話しかけ、奇しくもホテルの屋上で僕らのすぐ近くにいた一人の男がキューバ球界でも有名な名選手ビクトル・メサだと説明してくれた。僕らもミーハー心に火がつき、一気に記念撮影へと盛り上がる。

ビクトル・メサ - Wikipedia

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メサと奇跡の2ショット中の小野里さん。まったくメサを知らない川名が2ショット写真を撮っているのを見て、この子は今後伸びないと感じたよ!

 

「どうやらこのヨレヨレの服を着たオッサンはキューバ球界に顔の効くスゴい奴らしい」

我々の一同が瞬時にそう思ってしまったことからこれからの悲劇がはじまる。偶然メサを見かけて話しかけたのかもしれないのを、旧知の親友くらいに思ってしまったこの一件ですっかりトニーを信用してしまったのだ。

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 帰りに渡された御礼(?)の10CUCを嬉しそうに折りたたみ左手で握りしめるトニー

 

山師トニーとの冒険

トニーと我々が固くシェイクハンドすると、「わたしの名前はトニーです」とカタコトの日本語と笑顔で挨拶してくれた。なんとトニーはリナレスの元中日時代の日本語の通訳を務めたいたと自己紹介してくるではないか!  そして数々の証拠を尋ねてもいないのに勝手に見せてくれた。

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これが決定的な証拠といえる中日ドラゴンズ時代のリナレスとトニーの2ショット。よく見ると背景に写っている人たちが日本ではなくキューバなのがポイントだ!

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入団時のリナレスの写真というか切り抜きも見せてくれたが、一体何を伝えたいのかはナゾ!?

 

「うーん、自分から見せてくる辺りが怪しいなあ…。いつも持ち歩いているとってことだろ?」

僕がそう言うと開くんも「スクラップブックもボロボロですしね。いつも持ち歩いて日本人に見せびらかしている可能性がありますよ」と同調してくれた。

キューバの野球選手だったトニーはケガで野球の夢をあきらめ、球界の裏方としての道を選ぶ。そして野球の造詣と語学の才からリナレスの日本語通訳を務め、いまやキューバ球界の名伯楽として知られている”

パッと想像するとこんなプロフィールが勝手に僕の頭に浮かんだのだが、推理すると続きの話はこうなっていく。

“だが<ある事件>で球界を追放。現在は伝説の野球選手トニーとして街を歩いている人に球界ネットワークを駆使したビジネスを展開している”

一体全体<ある事件>って何なんだよ! などと勝手に妄想するのも申し訳ないが、ナゾがナゾを呼ぶ老人の登場に我々一同圧倒されっぱなしだ。それにしても路上でいきなり話しかけ、リナレスを紹介してくれるなんてそんな良い話はないだろう。

「ワシが野球関係の仕事をしていると言ったら盛り上がって、リナレスの家に行こうということになったのよ」

ワシという一人称を日常的に使う小野里さんがそう言うので、確かに脈絡なく紹介するのであれば怪しいが、小野里さんが野球関係者だったから紹介しれくれることになったのか、と一同合点した。

旧市街のメインストリート、オビスポ通りに出ると「俺に付いて来い!」って感じでスタスタとリナレスの家に歩いていくトニー。トニーはおもむろに葉巻をくわえだし、気分はまさに野球のフィクサーといった感じ。さっそうと街を横切っていくので、うしろを付いて歩く我々もテンションが上がっていく。

さあ、行こうぜ、トニー! リナレスの家に!!

 

 

 

30分後

 

 

 

「まだ歩くのかよ!」」

30分近く歩いても炎天下の中ノンストップで歩き続けているトニーに対して、すぐに我々4人組は悲鳴を上げてしまった。

「タクシー乗ろうぜトニー!!」

小野里さんが話を聞くとここからそれなりの距離があるのでバスで行こうとしているらしい。「こんだけ歩いてさらにバスか…」と思っていたら、小野里さんは「きっと我々に気を使って安く行けるように考えてくれたのだろう」と優しい考え方をしていて感心してしまった。すまんかったトニーよ!

するとトニーが一台のタクシーと交渉を開始、見事10CUCでリナレス邸まで連れて行ってくれるという。なんだ安い。これなら最初からタクシーで行けば良かったぜ! 

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ボロボロの荷台に乗っかって出発、事故ったら一発即死のランデブーに出発だ。このボロトラックの運転手はフェラーリの模様の入ったスリッパを履いているのであだ名を「フェラーリ」と今後呼ぶことにする。

 

旧市街から車で目的地までなんとさらに30分ほどかかったのだが、その間に車中トニーがさまざまなものを僕らに見せてきた。 ここで初めてトニーの怪しさに気づいていく。

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 まず最初に見せてきたのはゴルフのハウツー本だ。「ゴルフのスイングが野球に役立つ!」みたいなことを英語とスペイン語で言われたのだが、「プロゴルファー猿」かよ…と思ったのが疑惑の始まりなんだな、これが。 

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「ものすごいアンティークを見せてやる!」といわれ、ボロ靴下に包まれた往年のキューバ名選手のサインが書かれた古いボールを見せてくれた瞬間。これは素直にスゴいと思ったが、執拗に俺はスゴいアピールをされ、不可解さだけが残っていく。ギャグで車外に投げようとしたのはヒミツ♡

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決定的に怪しいと思ったのはキューバの旧市街の物売りが執拗に売りつけてくる切手帳と貨幣のコレクションブックを僕にチラリチラリと見せてきた時。「こいつもおそらく詐欺師だ!」と僕の中で確定した瞬間。

 

リナレスはいずこ?

リナレスを紹介すると言われて1時間半が過ぎた頃、旧市街から遠く離れて高級住宅地を車が走って行き、「ようやく到着か…」と思った瞬間トニーとフェラーリが道を歩いている人に次々と声をかけていく。どうやら「リナレスの家はどこか?」と聞いているようだ。「知らないのかよ!」と思うわずツッコミたくなったよ!!

「あんなに仲良しアピールしていたのに…トニーはリナレスの家を知らないんじゃないのかな?」

僕が言うと皆薄々感づいたため、次々と疑問が噴出する。

「なぜこいつは家知らないのにリナレスの家に行こうとか言うんだろう?」

「リナレスのマブダチ的存在で家知らないっておかしくないですか?」

「さっきから日本語一切喋らない…というか喋れないですよね? これで通訳っておかしくないですか?」

一気に疑惑の目が向けられるが一向に意に返さず、通りがかる人々に片っ端から大声で道を聞いてくトニーとフェラーリ。どうやらトニーが単なるいち野球バカで、俺たちをダシに連れて行こうとしているのではないか、とうっすらと分かってきた。確かに初対面の挨拶以外日本語は喋れず、すべてカタコトの英語で通訳というのはおかしな話。それにしても仮にリナレスを直接知らずに俺たちを彼の自宅に連れて行くいくというのであれば、ミーハーの単なる有名人のオタク訪問マニアじゃないか… そんな突飛な話がある訳がないと思った瞬間、「着いたぞ!」とばかりに颯爽と飛び出てトニーが民家へ向かっていく。

追っていくと、その先にいたのは若い、端正な顔立ちのイケメン。そう、彼はリナレスではなく別人。なんとリナレスの家を訪れるという誘いにのって辿り着いた先で出会ったのは、キューバ野球界でいま一番アツい男といわれるグリエルJrだったのだ!? そう書くと皆目意味が分からないが、事実なので仕方がない。状況を把握すれば、なぜか僕らは来月横浜DeNAベイスターズに入団するため来日予定というキューバNO.1の野球選手の実家に連れて行かれたのだった。

ユニエルキス・グリエル - Wikipedia

その時僕らはグリエルJrのことを知らなかったのだが、小野里さんはさすがに知っていたので大興奮。

「リナレスも横浜DeNAベイスターズに一緒に入団するグリエル兄もすごいが、弟の彼が実は最も注目されているスゴい野球選手なんですよ!」

兄は寝ているということで残念ながら会えたのは弟だけだったが、それにしてもリナレスに会わすと言われて連れて行かれた先が別の人物ってどうなのよ!!

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アポなしの強引な訪問で迷惑そうなグリエルJr。写真撮影に気楽に応じてくれたナイスガイだ。日本に来たらトニーの迷惑行為について朝まで語り明かしたい。 

 

小野里さんと同じように大興奮でグリエルJrと握手しているトニーとフェラーリを見て、「こいつら俺らをダシに使っているな…」と思うのは至極真っ当な判断だ。

再び車に乗り込むと、「いやー! まさかグリエルJrに会えるなんて衝撃だよ!!」と大喜びの小野里さんを尻目に僕らはますますトニーに対して冷淡になっていくのであった。「リナレスの話はどうなったんですか? こいつは何を考えているんですかね?」

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僕が日本語でDISり続けているのを知って知らずか笑顔で「見ろよ! 俺といるとスターと会えるだろう、フフッ」と自信満々で葉巻をくゆらすトニー。

 

続いて数十分かけて、人に道を再び聞きつつ、ついにリナレスの家に到着! が、応対してくれた奥様によれば、なんとリナレスは不在であった… というか先に電話して在宅かどうか聞いておけよ!! 

「リナレスは明日の夕方だったら家にいると言っている。明日行こう」

真顔でそう語るトニーを見て俺たちは絶句したよ。お前が会わすから行こう、という話でわざわざ来たのにそれはないだろうと。

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二人でいきなりリナレスの家におしかける姿。「日本人がどうしても会いたいんだ!」って、俺たちをダシに使うなよマジで…

いきなりの訪問に怯えているような表情の奥様を見ていると、おそらくトニーと奥様は初対面なんだろうということがよくよく分かった。

「これでハッキリしましたね。トニーがまったくリナレスとつながっていないことが…」

「うむ …」

小野里さんもようやくトニーが単なる野球の素人、観光客を騙してコーディネートする怪しいオッサンだとようやく気づいてくれたのだが、そこにグリエルJrと会えたというヒットがあるから、これを得とするか損とするかは難しいところ。

再び旧市街まで戻り、トニーとフェラーリに別れを告げるとフェラーリが「これだけ走ったんだから30CUC(約3,720円)だ!」と最初の提示金額を覆して堂々と請求。俺たちはそもそも自らグリエルJrと会いたいとか言ってないのだが…と思いつつも素直に金を払い、ボラれるという日本人らしい瞬間だ。

トニーにも謝金で10CUC払ったが、帰り際、切手や貨幣をさらに売りつけてきて、やっぱりこいつも詐欺師の一人だったと気づいたときは後のカーニバル。洋服もシミだらけだったし、こいつは一体何者だったのだろう…

気軽に有名人の家に押し掛けることができる国。そんなキューバで我々は毎日のように意味不明にボラれ続けたのだが、その顛末はまた後日!

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混乱しているグリエルJrとパチり!

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こんな記事があがってたけどプロ野球開幕していたにも関わらず、グリエル兄弟は普通に家でマッタリしてました。本人は来月行くと言ってましたよ→高田GM

headlines.yahoo.co.jp

 

『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』プレミア上映会

不可思議 不可思議/wonderboy ふかしぎわんだーぼーい 不可思議さん 不可思議くん livingbehavor 狐火 観音クリエイション DAOKO GOMESS 関和亮

『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』のプレミア上映会が昨夜渋谷のWWWで開催され、限定230人の不可思議/wonderboy ファンに集まって頂きました。

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チケットもSOLD OUTの立ち見がでるほどの満員御礼。
岐阜や札幌から駆けつけたファンの方もいらっしゃいました。f:id:hynm_kusanagi:20150224175705j:plain

この満員御礼には試写会をお越し頂いた筧美和子さんをはじめ、ラジオでご紹介頂いた川田十夢さんなど、多くの不可思議/wonderboyファンの口コミのおかげと思っております。ここに感謝いたします。

映画は完成まで1年半かけて、ようやくの公開です。
製作の経緯は過去のブログに書いていますので、こちらをご覧下さい。


不可思議/wonderboyのドキュメンタリー映画発表について - トークのイチロー就活日誌

関和亮監督も舞台挨拶で話していましたが、「本当に完成できるのだろうか?」というさまざまな問題をクリアしての、ようやくの公開に製作陣一同感無量でした。

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音響は世界的なエンジニアの田鹿充さんが忙しい時間を縫って担当してくれました。

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映画に出演して頂いたGOMESS(左)、Paranel(中)、撮影担当の松居大吾(右)さん。

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LIVEは観音クリエイション(feat. ぬくみりゑ)、狐火、GOMESS。
映画ありLIVEありの平日18:30から21:30までの3時間。サプライズで先日メジャーデビューを果たしたDAOKOから監督への花束贈呈もありました。
故人を忍びつつ、新しい未来に向かって進んでいく。そんな構成になったかと思われます。
果たして、来て頂いた人たちの感想はどうだったのでしょうか?

皆様にご好評頂き、とても嬉しかったです。
ご来場本当にありがとうございました。
最後にトリで素晴らしいフリーススタイルを披露してくれたGOMESSくんの姿をご覧下さい。僕の名前も出てきますが、メチャ感動して涙してしまいました。


2/24 GOMESS『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生 ...

この愛のある映画が広まっていくことを切に願います。

今後の上映先はこちらのFacebookで公開されていきます。


Living Behavior 不可思議/wonderboy人生の記録 | Facebook

 

音楽ってすげえ。
最高のメンバーに感謝。

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映画『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』予告 ...


Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録

草彅洋平が選ぶ2014年映画ランキング

映画 ベスト 2014

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(写真は今年一番意味のなかった男二人ディズニーランドの思い出の一枚)


みなさん今年もお疲れさまでした!
2014年もあっという間でしたね…人生の短さヤバすぎる! というわけで今年も本やら音楽やら食べ物やらいろいろなものをひたすらDIGし続けてきた結果に対して誰からも原稿依頼来ないため、僕の方で勝手に2014年の総括をしてみようかと思います。

という訳でまずは手始めに映画のベストを僕視点でセレクトさせて頂きました。

選外と10位〜1位まで、さらにドラマまで入れておきました。

*制作完了年ではなく2014年日本公開のものを基準としています

選外:「7番房の奇跡」


映画『7番房の奇跡』予告編 - YouTube

誰もプッシュしないだろう、まずはこちらから。韓国映画好きなんですが、この手の映画(チープな感動もの)は避けていたんですよね。で、実際観てみたら「七番房の奇跡」は映画というよりもドラマに近いレベルでストーリーも荒唐無稽。たとえば刑務所なのにザルすぎる警備など、ストーリーが破綻しているシーンだらけ、とか、じんわり感動系の映画に関わらずエンディングにまったくふさわしくないスリリングな音楽を流すなど、作り込みとしてはいちクリエイターとして「死ね!」と殺意覚えるくらいツッコミどころが多いんですが、なんだかんだで号泣してしまうんですよ… そう、泣かせるポイントにロジックが必要ない。そこがとにかく恐ろしと思ったよ! とにかく子役のカル・ソウォンちゃんが神。あと「オアシス」のようなストーリーに僕はとにかく弱いんだな。日本だとほとんど障がい者を映画の主人公にしないですが、この辺りの問題の扱い方、韓国の映画シーンの懐の深いところだと思っています。

第10位:「THE OTHER WOMAN」


THE OTHER WOMAN Trailer (Cameron Diaz, Kate Upton, Leslie Mann) - YouTube

日本未公開で公開予定もないのですが非常に面白いコメディータッチの映画です。NYで弁護士として働くキャリアウーマン、キャメロン・ディアスが恋していた男は実はヤリチンだった!? 事実を知った奥さんのケイト・アプトンとグラマラスな愛人レスリー・マンの3人がタッグを組んで男に復讐するという物語なのですが、女性のファッションや登場するレストランなどがとにかく新しく刺激を受けます。僕は特に女性が何でも食べさせてくれる「NO HAND」というアジア風のレストランに、これは日本でやれば流行るな、と刺激を受けました(誰かやりましょう)。女性なら3人のファッションにインスピレーションをもらえるでしょう。いまのNYの流行を知るのに最適な映画ですな。

第9位:「グランド・ブタペスト・ホテル」

「グランド・ブダペスト・ホテル」予告編 - YouTube

いまデザインに関係した職種の人はとにかくウェス・アンダーソンの映画を観るといいですよ。『ダージリン急行』からずっとですが、彼の映画は美術が本当に素晴らしい。とにかく素早く動き、喋り続け、展開していく。物語のスピード感とおかしな人々の群像劇がウェス・アンダーソンの魅力ですが、「グランド・ブタペスト・ホテル」は一つの到達点といえるでしょう。それにしても乗り物(バイクやソリ)に乗った時の正面撮影だけで「ウェス・アンダーソンらしい」と思えてしまうのは何なんでしょうね? 要は彼の映画スタイルが完成されているということなのでしょうが、この監督でしか成し遂げられないものがあるというのが、本物の「監督」といえるでしょう。

 

第8位:「キック・アス/ジャスティスフォーエバー


映画『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』予告 - YouTube

やっぱり「キック・アス」好きですねえ。で、大体好きな映画は「2」になって劣化するという王道を通るのですが「キック・アス/ジャスティスフォーエバー」はいい感じでまたまた面白かったんですよ。この映画はそもそも「2」に関わらず監督が変わっています。前作マシュー・ヴォーン監督の「キックアス」の何が僕にとって面白かったのかというとヒット・ガール役のクロエ・モレッツの可愛さもありますが、所々に伺えるセルジオ・レオーニ(「夕陽のガンマン」)オマージュです。それが本作は熱烈に「キック・アス」を愛するジェフ・ワドロウに監督に変わり、まったく違う映画に仕上がっています。自分でシナリオを持ち込むほどの「キック・アス」マニアだけあって、全然僕の期待を裏切らないんですよね。神経を刺激してノロウィルス状態にする「ゲロゲリ棒」最高w

 

第7位:her/世界でひとつの彼女


映画『her/世界でひとつの彼女』予告編 - YouTube

スパイク・ジョーンズって丁寧な映画撮りますよね。未来が数百年先でなく、想像できる範囲の近未来というのがいい。この映画を観て、以前大学生のとき「ときめきメモリアル」にはまっていた自分を思い出しました。俺も虹野沙希ちゃんと付き合っていたので(二次元で)、主人公の気持ちがよく分かります。これオタクなら誰もで共感できる永遠のテーマを映画にして美化した極めて日本的な映画だと思いますが、考えてみてください。これ日本人に置き換えた瞬間、とってもイケテナイ話になるような… ただ今後未来はこうなっていきそうですね。登場するゲーム機も楽しそうでゲーマー魂も震える。サントラもめっちゃいいですね。久しぶりに映画観て音楽買いました。

 

第6位:ウルフ・オブ・ウォールストリート


『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 予告編 - YouTube

マーティン・スコセッシ好き(特に「グッドフェローズ」好き)としては期待大で観させて頂いた本作はやっぱり良かったですねえ〜。やはり世の中、金・女・薬ですよ(キッパリ)。そんな風に洗脳されてしまうくらいディカプリオのぶっ飛びぶりが楽しい映画です。というわけで極めてアメリカ的なスケール感を示した本作のハチャメチャぶりは「昔はすごかったんだよなあ〜」的なバブルのおっさんの昔話を聞く感じで楽しめました。この映画観たときに思ったのはレオナルド・ディカプリオ扮する主人公の行動が、頭のいかれた某IT企業社長の動きとまったく同じだと思い、大丈夫かなと心配になりました。

 

第5位:ガガーリン 世界を変えた108分」


世界で初めて有人宇宙飛行を達成したガガーリンのドラマ!映画『ガガーリン 世界を変えた108分』予告編 - YouTube

堀江貴文さんが「『インターステラー』より『ガガーリン』の方が面白い」と話していて、非常に堀江さんらしいと思いましたが、人類で初めて宇宙に行ったガガーリンを主人公にした本作はロシアらしい淡々とした筆致で描かれる重厚な物語です。僕もこの映画を見るまでガガーリンのこともあまり知らなかったですが、史実に基づいて緻密に描いているので非常に勉強になりました。まだ物資も豊かでない当時の宇宙飛行士たちはよくぞ成し遂げたものですよ。極めてロシア的なガガーリンのお父さんなど、いろいろなディティールに痺れます。ちなみにロシア映画って久しぶりに観たけどやっぱりメチャクチャ独特ですよね。この独特な荒い質感というか無骨な手触りは、ハリウッド映画ではやはり出せませんな。

第4位:ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」


『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』[HD]映画予告編 - YouTube

 『サイドウェイ』や『ファミリー・ツリー』で評判の高いアレクサンダー・ペインは素晴らしい監督ですよ。僕が高校生のとき下北沢のローソンでアルバイトしていたんですが、女子大生のエッチな美人のお姉さんがいたんですね。で、忘年会でいきなり「ジャンケンしない?」と言われて、意味分からずジャンケンして、勝ったら突然おっぱいを揉ましてくれたんです。それが僕のファーストタッチなのですが、その後興奮しすぎて泥酔して路上で吐いてゴミ捨て場で起きた思い出があります…(懐かしいなあ)

そのお姉さんがある日大好きな映画としてお勧めしてくれたのがジョン・ヒューズの傑作「フェリスはある朝突然に」だったんですよ! いま思えばとても趣味の良いステキなお姉さんですよね〜。「フェリス」の主人公が名優マシュー・ブロデリックで大ファンになったのですが、この人を再び見つけることができたのがアレクサンダー・ペインの「ハイスクール白書_優等生ギャルに気をつけろ!」でした。それから生粋のアレクサンダー・ペインファンとなって、いまだにジョン・ヒューズアレクサンダー・ペインの映画を観るとお姉さんを思い出すんですなあ。 あ、映画に関係ない話になったけど、まあそんな話もあってアレクサンダー・ペインは僕の中で特別なんですよ。

第3位:「LIFE!」 

 
映画「LIFE!」 《人生が変わる》6分間予告篇 - YouTube

編集者ですから編集者の出てくる映画が気になるんだけど、もっと編集者ってモテモテになっていい存在だと思うんですよ(マジで!)。「LIFE!」はさえないダメ編集者が世界を冒険するうちにハートと人生がメキメキ変わっていくという現代のおとぎ話なんですが、スケボーがキーポイントとして出てきます。そう、ベン・ステラー扮する主人公の意外な特技として、実はスケボーが得意というのがあるんですね。日本の代表的ダメ男である「のび太」があやとりと早撃ちが得意と一緒です。それで映画の中でもスケボーで2回ほど救われるシーンがあるのですが、東京出身の僕も先輩に鍛えられ、実はスケボーがそこそこできるという類似設定。僕とかなりスペックが似ているんですね(ドヤ顔)。というわけでまるで自分ごとのように観ましたよ。ええ、素晴らしい映画でした。乃木坂メンバーと付き合えなくても編集者で良かったんだと勇気づけられますよね。

第2位:ザ・レイド GOKUDO」


映画『ザ・レイド GOKUDO』予告編 - YouTube

インドネシア映画といえば政治ドキュメンタリーの「アウト・オブ・キリング」がいいみたいな流れになっていますが、インドネシア映画といえば断然アクション映画がいいんですよ!! 前作「ザ・レイド」は素晴らしい密室型アクション映画でしたが、続編の本作は密室から外に飛び出て縦横無尽にあのメチャ強い男がインドネシア格闘技「シラット」で人を殴り続けます。いやあ、カースタントも個性ある敵役との闘いもアクション映画で最高傑作じゃないでしょうか。潜入捜査×アクションといえばドニー・イェン出演、イップマン監督の傑作「フラッシュポイント 導火線」を思い出しますが、あの映画もマウントを取り続けるという総合格闘技的アクションシーンに度肝を抜かれました。なのに「ザ・レイド」の方が映画的に凌駕しているように思えるのは、単純に「痛み」の問題なんでしょうね。つまり香港アクション映画よりインドネシア・アクション映画の方が観ていて痛いんですよ。コンクリートに叩き付ける、あるものすべて使って攻撃する、トンカチで叩くというより切り裂くというような残酷的な表現。
ちなみに文句あるとすればタイトルに「GOKUDO」とついてますが、ヤクザはギャング同士の抗争の要因になるくらいで、彼ら別に何もしないんですよ… タイトルつけるなら「ザ・レイド GANG」だろ、と。思わせぶりな終わり方したので続編あると思うのですが、それなら三作目こそ「GOKUDO」なんだろうと思いました。もし極道メインで次回作出るならタイトルどうするんでしょうかね? 勝手に心配しています。

第1位:インターステラー


映画『インターステラー』最新予告編 - YouTube

賛否両論の「インターステラー」ですが、僕にとってはメッチャ神映画でした、というのが率直な感想です。浅田彰氏、東浩之氏をはじめ、さまざまな評論家が2001年宇宙の旅」から語りますが、僕からすれば極めてアメリカ的な挫折の映画「フィールド・オブ・ドリームス」から語るべきだと思いますよ!(以前からアメリカ=とうもろこし畑=挫折の映画に弱い…)。たまに登場する野球シーンとか意識して差し込んでいるんじゃねと思うほどに。
で、「イーガンの「ディアスポラ」的な地球ヤバイんで逃げなきゃ+ボイルの「サンシャイン2056」の取り残された科学者の狂気+「ほしのこえ」「トップをねらえ」的な時間の流れを使ったお涙頂戴+ゼメキスの「コンタクト」的なアウタースペース=インナースペースのハイブリッドな内容なんだけど、どれもこれも中途半端」と語るSFマニアのMさんに対して、この映画がいかに「フィールド・オブ・ドリームス」なのか話そうと検索していたら映画評論家の町山智浩さんがすでに語っているのを見つけました。さすが町山さん!! そうそう、感想一緒です。


町山智浩 クリストファー・ノーラン『インターステラー』を語る


それにしても子供いないと生還できないんだなあ… 早く子供作らないとと思ったよ。死にたい…

 

ちなみに2014年の番付にドラマを入れていいのであれば「ブレイキングバッド」をどこかに入れさせて頂きます。このドラマのカタルシスは最高ですよ。シーズン5の凍りつき方は震えました。 


海外ドラマ「ブレイキング・バッド」全5シーズン放送決定! - YouTube

 

さらに付け加えれば実は「ホドロフスキーのDUNE」をまだ観ていないんですよね…
観たらきっと順位変わるんだろうと思っています。


映画『ホドロフスキーのDUNE』予告編 - YouTube

 

以上です。
来年も面白い映画に出会いたいなあ。
あ、『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』にもご期待下さい!!
こちら公開日が遅れまして2月になりそうです。おってお知らせいたしますね。


映画『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』予告編 - YouTube

東京ピストルの「BO-NEN-KAI」

毎年恒例、今年の顔と音楽を楽しむ東京ピストルの「BO-NEN-KAI」のスペシャルゲストですが、本日作曲家の新垣隆さんに決定いたしました!!
(パチパチパチパチ〜)

 

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新垣さんといえば、大変音楽に精通している方。
今回トークショー形式で新垣さんから音楽愛をお聞きしたい、とオファーさせて頂きましたが、なんと新垣さん自ら「カラオケの伴奏が得意なんですよ!!」とご提案が!?
そこで今回の忘年会は新垣隆さんの演奏をバックに贅沢な「カラオケの夕べ」を開催することにいたしました。
著名な作曲家に関わらずそんな大それた事を許してくれるなんて…
なんといい人なんだろうと、魂が震えました。


ところでカラオケとなると誰か歌う人が必要ですよね!

そこで…

 

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歌い手を大募集!! 


新垣さんの伴奏で我こそは歌ってみたい方。
プロアマ問わずドシドシご応募ください〜

*申込方法
1「お名前」2「歌いたい曲名」3「歌いたい曲名の音(YOUTUBE)リンク<こちらはあれば>」4「アピールポイント」を記載のうえ、下記コメント欄もしくはDMでご応募ください。抽選をもって選考させて頂きます。予めご了承ください。当選はメッセにてご連絡させて頂きます
*歌い手の条件は以下の通りです
・プロアマ不問
・「BO-NEN-KAI」を盛り上げられる方!
・21:00以降2時間以上会場に滞在できる方
・ピアノ演奏のふさわしい曲を提案できる方
ギャランティーは発生いたしませんのでご了承ください
・撮影されても問題ない方(当日取材が入る可能性がございます)
<歌う曲はお時間の都合上サビまでになる可能性があります>

*なお忘年会は3社の関係者様、ご友人までしか入場できませんのでご了承ください〜!!

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「中原中也 歩みのリズム―〈僕は街なぞ歩いてゐました〉」

こんにちは、今日は冬なのにやや暖かいいい日ですね。

日本近代文学館内に「BUNDAN」作ったにも関わらず、本や文学関係の仕事が全然来ないなあ…とさまざまな場所でDISり続けていたら、後輩のYCAM菅沼くんが中原中也記念館開館20周年記念事業の一環に僕を呼んでくれました。マジでありがとうございます。

で、好きに考えてもらっていいですよ、とのことだったので、いろいろ考えて、音楽とのコラボレーション展示にしました。

それが11月26日(水) →2015年1月25日(日)にはじまるこちらです!

 

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そもそも中原中也非常に音楽と縁の深い人なんですよ。

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中也の詩のなかで、最初に活字になったものは『朝の歌』と『臨終』である。それらは諸井三郎により歌曲になり、1928年の第2回スルヤ演奏会で歌われたのだが、その際、機関誌『スルヤ』に歌詞として掲載されたのである。詩集どころか詩さえも発表していない、ゆえにまったくの無名といっていい詩人の作品に音楽がつくのは、きわめて珍しいケースであるといえる。諸井は、中也の生前、彼の詩『空しき秋』『妹よ』『春と赤ン坊』に曲をつけ、中でも『妹よ』はJOBKで放送された。また、『スルヤ』の同人であった内海誓一郎は、1930年に『帰郷』『失せし希望』に作曲している。中也の死後、石渡日出夫、清水脩多田武彦らをはじめとして多くの作曲家が曲をよせている。クラシック系の歌曲、合唱曲が多いが、演歌やフォークソングも生まれている。とりわけ、友川かずきによる楽曲群(アルバム『俺の裡で鳴り止まない詩』以降も「わが喫煙」「頑是ない歌」など少なからぬ詩歌を取り上げている)が知られている。中也の友人であった作家の大岡昇平も、『夕照』『雪の宵』の2篇に作曲している。海援隊の思えば遠くへ来たもんだという曲は中也の「頑是ない歌」を基にしてる物と思われるほど共通点が多いが、クレジットには作詞:武田鉄矢とのみ記載され、武田自身もインタビューで「この詩は自分が20代の時に感じた物を素直に書いたもので、今考えると20代の若造がよくもこんな深い詩が書けた物だと、自画自賛ながら感心してしまう」と自らのオリジナル作品であると述べている。「汚れつちまつた悲しみに……」は、おおたか静流により曲が付けられ、NHKの『にほんごであそぼ』で歌われている。また歌手の桑田佳祐も曲にしている。GLAYの楽曲「黒く塗れ!」の歌詞にも、このワードが登場する。「月の光」は、石川浩司により曲を付けられ、たまのアルバム『そのろく』に収録される。(wikiより抜粋)

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僕が最初に中也の歌詞の歌を聴いたのは友川かずきの「俺の裡で鳴り止まない詩~中原中也作品集~」だったのですが、友川かずき武田鉄矢桑田佳祐さんたちにお声がけしたい気持ちをぐっとこらえ、今回は僕のなかでこの人が中也とコラボレーションしているのは面白い、と思う方々にお声がけしてみました。展示のキュレーションというのは初めてだったのですが、みなさん非常に力作だらけで、とても面白いものができたと思います。是非とも山口県まで足をお運び頂ければ幸いです。

 

                   ↓

 

「中原中也 歩みのリズム―〈僕は街なぞ歩いてゐました〉」

期間:2014年10月1日(水)~2015年1月25日(日)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、毎月最終火曜日、年末年始(12月29日〜1月3日)
入館料:一般 320円(270円)・大学生 210円(162円)・小中 高生160円(108円)・70歳以上は無料 ( )内は20人以上団体料金
開館時間:10月1日〜10月31日 午前9:00~午後6:00(入館は午後5:30まで)/ 11月1日〜1月25日 午前9:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)
主催:中原中也記念山口情報芸術センター[YCAM] 
協力:株式会社 東京ピストル

中原中也記念館開館20周年記念事業の一環として、山口情報芸術センターYCAM)とのコラボレーションにより、中也の詩の新しい楽しみ方を紹介します。
中也は、昼に起床し、深夜まで街中を歩き続け、帰宅したのち本を読んだり、詩を書いたりしていました。中也は日々の生活の中で「歩く」ことを重視し、作品や書簡の中でも多数言及しています。
本展では、中也の生活において特徴的であった「歩み」と、歩き続ける生活の中で宿った詩の「リズム」をテーマに、来館者が詩と身体の両方に向き合いながら、中也の詩の魅力を発見できるような体験型の展示を行います。
この度「特別企画:中原中也 feat. 現代のミュージシャン」として、2014年11月26日(水) →2015年1月25日(日)に現代のミュージシャン8組が中也の詩をもとにオリジナル曲を制作。
東京のクリエイティブ集団・株式会社東京ピストルがキュレーションを担当しました。
映像や絵とともに、 “ことば ”という楽器を持った中也と、ミュージシャンたちによる時代を超えた共演にご注目ください。

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1・降神「夢幻」(「サーカス」より)
2・高木完×高橋源一郎「ROOT CULTURE - Chuya Tribute 2007 / Genichiro Takahashi and Kan Takagi」(「生い立ちの歌」、「頑是ない歌」、「言葉なき歌」、「サーカス」、「汚れちまった悲しみに」、「盲目の秋」、「月夜の浜辺」、「無題」より)
3・タカツキタツキ & SWING-O「月夜の浜辺」(「月夜の浜辺」より)
4・GOMESS「盲目の秋」(「盲目の秋」より)
5・山口活性学園「Butterfly Effect 〜一つのメルヘン〜」(「一つのメルヘン」より)
6・Vampillia「drunkard high」(「宿酔」より)
7・world's end girlfriend & BOOL「春日狂想」(「春日狂想」より)
8・和田昌昭「宿酔」(「宿酔」より)
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